LF対談

好奇心がサイエンスの基本。
自然に対する関心から出発している No.69(2013.6)

理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター センター長
竹市雅俊 氏

公益財団法人 千里ライフサイエンス振興財団
岸本忠三 理事長

生物を見ることへの関心がカドヘリンの発見にもつながる

岸本 竹市先生の発見された細胞接着分子のカドヘリンがまた注目されています。昨年は、論文の引用数が非常に多いということでノーベル賞の有力候補の1人にも挙げられていました。ところで、僕らはそんなに年齢が変わらないですよね。大学へ入る頃というと高度経済成長が始まる頃で、工学部とかが人気でした。ところが、先生は生物学に進まれる。生物といったら、学校の先生になるしかないし、なぜ生物だったんですか。

竹市 もともと昆虫採集したり、小動物を飼ったりと生物好きな人間で、専攻を選ぶときにはずいぶん迷いましたけど、やっぱり好きなことをやるかと。おっしゃるとおり、当時は生物をやっても就職先はないし、「生物学って?」と聞かれたら、「天皇陛下(昭和天皇)がやっておられること」(笑)というのが一番わかりすい説明でした。

岸本 好きだからですか。先生のオトシブミっていうカミキリムシの話を聞いていても、何かロマンがありますよね。

竹市 完全に趣味の世界ですけど、虫とか花とかを見ることに非常に関心が湧きますね。じっと眺めて、面白い恰好をしているな、不思議なことをやっているなとか、自然に対するそういう関心が強く、今では写真をよく撮ります。これはもう僕の一種の特性なんでしょうね。

岸本 見るということ。細胞でも、くっつくか、くっつかないかというのを見ることから発見につながっていったわけですね。

竹市 まったくそうで、僕は生物を見るのが好きで、そういう自分の特性を生かせるという直感があったから、発生学を選んだと思うんです。発生学は、今や分子生物学のカテゴリーに入りますが、観察的な実験が非常に大事です。観察するのが好きなのは、今でも実験データを見るときに生かされていると思います。「これは、こうなっているんじゃないか」と他の人とは違った視点で気づくことが、まだ時々あります(笑)。

岸本 それでカドヘリンといったら、何十種類とありますよね。

竹市 最終的には。

岸本 最初に、カルシウムに依存する接着(Adherence)ということで、カドヘリンという絶妙な名前をつけられた。それが上手でしたね。日本人はみんなそれが下手で、後からやった人が上手に名前をつけたら、それが発見みたいになってしまうんですよ、我々の経験から言うと。先生が考えられたわけですか。

竹市 岡田(節人)先生からは「早く名前をつけろ」と言われていたけど、98%くらいは確かでも残りの2%は危ないので躊躇していました。その後、モノクローナル抗体の技術ができて、特異的な抗体がとれた。それで「さあ名前」ってことになって、複数の候補の中から研究室に滞在中のイギリス人にどれがいいか選んでもらった。それがカドヘリンだったんです。ユニークな名前がついた分子の発見者になると、研究者としてのアイデンティティがわかりやすくて得しますね(笑)。

岸本 僕はカドヘリンといういい名前をつけられたことが一番よかったと思います。そう思いません?

竹市 みなさん、いい名前だなと言ってくださいます。でも、カドヘリンという名前が残ったのは響きがいいかどうかと言うよりは、僕らが一番正確にカドヘリンの分子グループを定義してきたからであって。

岸本 それが評価されたわけですね。

カドヘリンは組織作りのために同じ細胞同士をくっつける

岸本 カドヘリンという名前をつけられたのは何年ですか。

竹市 1984年の論文です。

岸本 それが最近になって、発生にも、がんにも、免疫にも細胞接着という現象が重要ということになって、やる人も論文も増えてきました。その中で、一番有名な接着分子というのがカドヘリンですよね。

竹市 正確に言いますと、細胞の接着は多様で、組織を作るために細胞同士がくっつくにはカドヘリンが非常に重要であると。それから、細胞は同時に細胞外基質にも くっついていて、そちらはインテグリンが重要です。組織を作るためにはこの2つのどちらがなくてもうまくいかない。あと免疫系の細胞は、動いたり、認識したりというのが特徴で、この場合には免疫グロブリンスーパーファミリーや、インテグリンファミリーの一部などを使います。カドヘリンは「組織作り」のために重要であるということが一番のポイントですね。

岸本 そうすると、カドヘリンはたとえば腎臓にあるもの、肝臓にあるもの、脳にあるものがそれぞれ違って、それぞれ同じものがくっつくわけですか。

竹市 そんな単純じゃないんですね(笑)。

岸本 腎臓と肝臓の細胞をバラバラにして一緒にしても、それぞれ違うカドヘリンが出ているから同じ細胞だけがくっつくというわけでは。

竹市 器官特異的なカドヘリンはないです。むしろ組織特異的というか。たとえば上皮細胞はE−カドヘリン、結合組織の細胞はN−カドヘリン、血管内皮細胞はVE−カドヘリンというふうに細胞のタイプによって分かれているんです。だから、腎臓には上皮もあるし、結合組織もあるしと、いろんな細胞がありますから、細胞のタイプによって違うカドヘリンを出しているということであって。

岸本 1つの細胞には、1種類のカドヘリンしか出ていないんですか。

竹市 いや、それがまた複雑で。たとえば表皮には一番下に未分化細胞層がありますね。この細胞層はE−カドヘリンとP−カドヘリンの2種類を出しているのが、分化して上にあがるとE−カドヘリンだけになります。同時に、デスモソームという強い接着構造が発達し、ここではまた別のカドヘリンが働きます。1つの細胞が1種類のカドヘリンを出しているわけじゃないんです。組み合わせが非常に複雑です。

岸本 でも、そういうカドヘリンの遺伝子発現というのはちゃんと制御されているわけですね。

竹市 極めて厳密に。どうして発現が変わるかというのは、細胞をソーティング(選別)するために必要であると考えていますが、決定的に証明されたわけではありません。カドヘリンのタイプによって、接着特異性だけでなく機能的な違いもあるようです。結局、接着分子としてのカドヘリンは20種類ぐらいあって、それが細胞のタイプによっていろいろな組み合わせで発現されていて、これらを組織で染め分けると、美しいモザイクになっています。

岸本 多細胞動物はすべてカドヘリンを持っているわけですよね。昆虫とかも。

竹市 そうです。ただし、ここで少し説明が必要です。カドヘリンは細胞外ドメインと細胞内ドメイン、この組み合わせで働いているんですね。

岸本 両方いるんですか。外側だけでノリみたいにくっつくわけじゃなくて。

竹市 細胞外ドメインだけだと、細胞が丸いまま、弱くしかくっつきません。免疫系の細胞の接着というのは軽くくっつくだけと思いますが、そんな感じです。一方、組織の形成には細胞の接着面を強固にピタッと合わせる必要がある。そのためには、細胞内ドメインが必要なんです。細胞内ドメインがカテニンと総称されるタンパク質を介してアクチン繊維と相互作用し、細胞内から接着を裏打ちする。これで強固な接着が成立します。そういうふうにして働くカドヘリンが20種類ぐらいあります。
ところで、細胞外ドメインはカルシウムイオンの結合に関与する独特のアミノ酸配列を持っていて、それを繰り返す構造になっている。この配列を持った分子が、ヒトで120種類ぐらいあってカドヘリン・スーパーファミリーと呼んでいます。ただし、繰り返し構造の大きさにはバリエーションがあり、同時に、細胞内ドメインも多様化していて、それに応じて機能も多様化しています。そして、このカドヘリン・スーパーファミリーは動物界全体にあります。しかし、すべての多細胞動物が接着のために、脊椎動物と同じカドヘリンのシステムを使っているかは、まだ証明はされていないです。とくに原始的な多細胞動物系では。

岸本 でも、形を作っていくのにないといけないわけですよね。

竹市 たぶん(笑)。非常にプリミティブな動物のカドヘリンをちょっと研究してみたいと思ったことはあります。本当に同じ機能かどうかね。

竹市雅俊 氏

竹市雅俊 氏

理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター センター長

1943年、愛知県生まれ。66年名古屋大学理学部生物学科卒業、69年同大学大学院理学研究科博士課程退学。70年京都大学理学部生物物理学科助手、78年助教授、86年教授。74〜76年米国カーネギー研究所発生学部研究員、92〜97年岡崎基礎生物学研究所客員教授、93〜98年京都大学理学部付属分子発生生物学研究センター センター長。99年京都大学大学院生命科学研究科教授。02年理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター センター長。専門分野は発生生物学、細胞生物学。細胞間の接着に働く分子としてカドヘリンを発見し、その作用機構、動物組織形成・シナプス形成等における役割を解明。近年は、新しい微小管制御因子の研究にも取り組む。受賞は、塚原仲晃賞、大阪科学賞、朝日賞、上原賞、日本学士院賞、国際発生生物学会ロス・ハリソン賞、慶應医学賞、文化功労者、日本国際賞ほか。日本学士院会員、米国科学アカデミー外国人会員、ヨーロッパ分子生物学機構外国人会員。

カドヘリンの接着の異常は、がんの転移にも関係する
そう言ったかぎりは、それを証明したい

岸本 カドヘリンでみんなが興味を持つのは、1つはがんの転移の問題で、もう1つは脳の問題ですよね。脳の細胞というのはたくさんあるわけですけど、そこにはいろいろ違ったカドヘリンが関わっているわけですか。

竹市 今2つの問題を挙げていただきましたけど、一般の組織形成におけるカドヘリンの役割自体もまだ完全には理解されていないので、3つのことが問題としてあります。脳については非常にたくさんの神経細胞がある中で、いろんなカドヘリンがモザイク的に発現しています。脳の領域って機能的に分かれていますよね。いわゆる運動野とか視覚野とか聴覚野とか。これがカドヘリンの発現パターンに対応しているんです。もう10年以上前に見つけて、非常に面白いなと思って。

岸本 そうすると、1つのカドヘリンの遺伝子をノックアウトしたら、目が見えんようになるとか、そういうことにもなるわけですか。

竹市 そういう研究をだいぶやったんですが、何というかフェノタイプ(表現型)が単純には出ないです。行動的にちょっとおかしいマウスはできるけど、どこがおかしいのか特定することがなかなかできない。それでも、いくつか論文を書きました。例えば、温度感受性の感覚神経細胞と脊髄神経の間のシナプスにカドヘリン8が存在することを見つけ、これをノックアウトすると熱に対する感受性がおかしくなるというものです。重要な論文であると自負していますが、残念ながらシナプス形成におけるカドヘリンの役割がいまいち曖昧のままです。我々が本当に証明したかったのはそこなんですけどね。神経ネットワークが複雑なため、カドヘリンとシナプスの関係を調べるのは一筋縄ではいかんです。このラインの研究は結局ギブアップしました。

岸本 人間の病気ではどうですか。アルツハイマーとか。

竹市 論文はいろいろあります。自閉症の家系を調べたら、カドヘリンの9と10が原因遺伝子と想定されるとか。スーパーファミリーのプロトカドヘリン19というのが、女性の脳疾患を引き起こすとか。また、カドヘリン23は、難聴に関わることで有名です。どこが異常なのかわからないカドヘリンノックアウトマウスでも、神経系のどこかがおかしいと予想されますが、その異常の原因解明は、むしろ人間の病気として発見されるかもしれませんね。

岸本 がんはどうですか。がんが転移するときには、がん細胞のカドヘリンの遺伝子が変異して、それでがん細胞の塊から離れると。そう考えられるわけですよね。

竹市 という論文は山のようにあります。カドヘリンの文献の多くはそれですよね。元々僕自身が言い出したことですが。

岸本 だから、論文の引用も増えてくるわけや(笑)。

竹市 そう。ただ、僕は医者じゃないので、自分でできるのは、がんから得られた細胞株を見ることだけで、その細胞株にしても多様です。今、特に大腸がんの細胞を見ていますけど、接着がおかしくなっているものもある一方、おかしくない細胞もある。がん研究の文献を調べると、カドヘリンの変異があった場合もあるし、細胞内から接着を裏打ちしているカテニンの変異が見つかったものもある。複雑です。

岸本 どうしたらいいのか、というのはなかなかですね。

竹市 変異したものはもう元に戻せないですよね。僕が今、一番関心を持っているのは、カドヘリンが働くために必要な成分が全部ありながらくっつかないという細胞で、これも結構あるんです。細胞内の接着に必要なシグナル経路に何か変化が起きていると予想して、それなら元に戻せるはずじゃないかと。いろいろやってみると、条件によって、やっぱりくっつくようになるんですね。これを一生懸命研究してどこが悪いか見つければ、それこそ薬も作れるかもしれない。理研の創薬プログラムに、接着を誘導する物質のスクリーニングをお願いしているところです。

岸本 先生でもやっぱりそういうことを考えるわけですか。

竹市 カドヘリンの接着の異常は、がんの転移にも関係する−−そう言ったかぎりは、それを証明したいものです。90年代の論文でそう書いていますから、責任を取りたいと。リタイアするまでにはなんとか目途をつけたいものです。

基礎研究をどうやって続けるか、それは一種の戦い

岸本 今は誰もが「再生医療」と言っていますよね。それはどう思いますか。

竹市 ES細胞やiPS細胞というのは、発生生物学から派生した初めての応用研究で、そういう意味では、発生生物学もなかなか大人になったなという感じはします。だから、世間の方が関心を持ってサポートしてくださり、それが発展するのは非常に良い状況と思っています。そのことに何ら異論はないですね。

岸本 研究費が1つのところへ何かというと集中しますよね。昔はゲノムや何やと言っていたのが、今はiPS細胞やと。ある程度幅広くやっていると、思いもかけないものが出てくるということもありますよね。どう思いますか。

竹市 基礎研究を続けるのはほとんど戦いですね。手前味噌かもしれないけど、好奇心というものがまずサイエンスの基本だと思うんですよ。そもそも人類がサイエンスをやってきたのは、自然に対する関心から出発しているのであって。しかも、人間だけですよね、サイエンスという、自身の利益とどう関係するかかならずしもわからないことにのめり込むのは。科学政策においてはバランス感覚が大切で、目先の人気テーマだけでなく、基礎研究から生まれる思いがけない成果こそ次世代におけるイノベーションにつながるはずであることを認識してサポートしていただきたいと、常日頃から発言しています。研究費が、わかり易い応用研究に流れがちの中、基礎研究をどうやって続けるか、一種の戦いだと思っています。

岸本 iPS細胞にしたって、最初は遺伝子を入れて初期化するといってもほとんど見向きもされなかった。それがある程度お金を渡したら発展して、今はみんな「iPSや、iPSや」となる。そういうことが、もっといっぱいあるはずですよね。

竹市 そうですね。

岸本 まだわからないことがいっぱいある中で、1つのところに集中していいのかという問題はありますね。

竹市 おっしゃる通りです。自分の体験からいえば、カドヘリンの研究をやっていて、もうわかりきったのではないかと思うことが度々あったんですけど、少し視点を変えると新しい展開がありますね。新しいことは、柔軟性と多様性から育ちます。研究資金も研究の多様性を維持することが大切ですが、ばらまきという風に捉えられがちで、実際無駄も多く生みますから、このへんの評価、査定が正しくされることを望みます。一方、集中によって特定の物事の理解が深まるのは事実でしょう。深みっていうのは全然わからないんですね。僕も今でもカドヘリンの研究をやっているけど、限りなく行きますね、これは(笑)。

岸本 そうそう。行きますね。

竹市 僕が話したオトシブミの非常に複雑な行動。あれもまったくわかっていません。あんなこと、どうしてできるのか。わかっていないことが、山のようにありますね。

岸本 今日はどうもありがとうございました。

 

EYES

同じタイプの細胞同士を結びつける 細胞接着分子カドヘリンを発見

カルシウムイオン存在下で細胞接着に働くカドヘリンを発見。
その構造、機能の解明を進める

私たちの体は約60兆個の細胞で構成されていますが、上皮や筋肉などの細胞は、細胞同士、あるいはコラーゲン繊維などの細胞外基質と接着することによって特定の役割を果たす組織を作っています。また、免疫系のリンパ球などふだんは接着していない細胞も、その役割を果たすためには一時的な接着を必要とします。そうした接着の際に働くタンパク質を細胞接着分子と呼んでいます。

細胞接着分子には幾つかの分子群(ファミリー)が知られています。その中で、同じタイプの細胞同士の接着に働き、受精卵から始まる体の組織作りにおいて主要な役割を果たしていると考えられているのが、カドヘリンと呼ばれる分子群です。E−カドヘリン、N−カドヘリン、P−カドヘリンなど、ヒトでは細胞接着分子として約20種類が見つかっていますが、上皮細胞なら主にE−カドヘリンというように同じタイプの細胞では発現するカドヘリンの種類が決まっており、そのカドヘリン同士が結合することによって細胞を接着させます。カドヘリンは、同じ分子的特徴を持ったものを含めると120種類以上となり、それはカドヘリン・スーパーファミリーと呼ばれます。このカドヘリンを発見し、その構造と機能の解明に先駆的な役割を果たされたのが、今回、LF対談にご登場いただいた竹市雅俊氏(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター センター長)です。

京都大学の助手だった竹市氏は1974年に米国カーネギー研究所に留学され、カルシウムイオンに依存して働く細胞接着分子の存在に気づかれます。そして帰国後も、その研究を続けられ、1984年にカルシウムに依存した接着(Adherence)であることからカドヘリンと命名されました。さらにカドヘリンには種類があり、細胞のタイプによって異なったカドヘリンが使われていることにも気づかれ、カドヘリンを細胞接着に関わる分子群として整理されていきました。それまで異なるタイプの細胞をバラバラにして一緒にしても、同じタイプの細胞同士が再集合することを「細胞選別」と呼んでいましたが、それは細胞のタイプによって使われるカドヘリンが異なっているためだったのです。

カドヘリンは細胞同士をどのように接着させているか。その構造も明らかになっていきました。カドヘリンは細胞膜を貫通する膜タンパク質です。細胞外ドメインと呼ばれる細胞外の領域に5個の繰り返し構造があり、この部分で同じ種類のカドヘリン同士がカルシウム依存的に結合します。細胞内ドメインと呼ばれる細胞質側の領域にはβカテニンとp120カテニンが結合し、βカテニンはαカテニンと結合しています。さらにαカテニンは細胞骨格のアクチン繊維とつながり、それによって接着を強固にしていることがわかってきました。

こうしたカドヘリンによる細胞接着は特に上皮細胞などで研究が進んでいますが、たとえば神経細胞同士をつなぐシナプスの形成にもカドヘリンが関わっていることがわかっています。神経細胞は長く伸びた軸索で情報を伝え、いくつもある短い樹状突起で情報を受け取っています。この軸索と樹状突起が接する場がシナプスですが、これも細胞接着の一種でカドヘリンの存在が確認されています。さらに、カドヘリンの種類の使い分けによって特定の神経回路の形成にも重要な役割を果たしているのではないかと考えられています。

医学的にはカドヘリンは、がんの転移との関わりにおいて注目されています。がん細胞の塊の一部が周囲との接着から離れ、血流を通して他の場所に移るのが転移です。がん細胞では、カドヘリンによる細胞接着に異常が起きているケースも多数報告されています。今後の研究の進展が期待されます。

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