液-液相分離の現象が生物学で注目され始めてから約10年が経過する。古典的な生化学・タンパク質科学を支えてきた「立体構造特異性」とは全く異なる原理が細胞の活動を支えているという事実は、生物学に大きな衝撃と変革をもたらした。これまで、多くの天然変性タンパク質および核酸が液-液相分離を起こすこと、また核小体やRNA顆粒などの細胞内非膜オルガネラが液-液相分離により形成されることが示された。現在、このような現象の記述が一段落し、液-液相分離は新たなブレイクスルーを求めている。このセミナーでは、生物学における液-液相分離の歩みを振り返るとともに、ストレス応答、自然免疫などの細胞のホメオスタシスにおける役割やその破綻が引き起こす疾患等に関する最新の知見を紹介したい。また、そこで得られた知見に基づいた新しい医療・創薬への展開の可能性を議論したい。 |
ポスター
プログラム
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10:00~10:05
挨拶 |
公益財団法人千里ライフサイエンス振興財団
理事長 審良静男 |
10:05~10:15
はじめに |
京都大学大学院生命科学研究科 分子情報解析学分野
准教授 吉村成弘 |
10:15~11:05
生物学的相分離:最近の研究動向と創薬に向けた取り組み |
奈良県立医科大学 医学部
准教授 森英一朗 |
11:05~11:55
シャペロンによるタンパク質集合とフォールディングの制御機構 |
徳島大学 先端酵素学研究所 分子生命科学分野
教授 齋尾智英 |
~休 憩~ |
13:00~13:50
細胞内相分離への物質科学からのアプローチ |
広島大学大学院統合生命科学研究科 総合科学部
助教 渡邊千穂 |
13:50~14:40
光遺伝学を用いたTDP-43の相転移操作で探るALS病態 |
国立遺伝学研究所 発生遺伝学研究室
特命准教授 浅川和秀 |
14:40~15:30
piRISC機構における相分離依存的非膜オルガネラ形成とその機能 |
東京大学大学院理学系研究科 生物科学専攻
教授 塩見美喜子 |
~休 憩~ |
15:50~16:40
相分離によるオートファジー制御 |
北海道大学 遺伝子病制御研究所 生命分子機構分野
教授 野田展生 |
16:40~17:30
ユビキチン創薬の最新動向とLLPS創薬の可能性 |
公益財団法人東京都医学総合研究所
蛋白質代謝プロジェクト
プロジェクトリーダー 佐伯泰 |
17:30~17:40
おわりに |
奈良県立医科大学 医学部
准教授 森英一朗 |
17:40~18:30
交流会 |