1981年以来がんは日本人の死因のトップになっており、罹患数と死亡数は依然として高い状態が続いている。その主な要因の一つが高齢化によるものであることは間違いないが、食生活等ライフスタイルの変化の関与も指摘されている。例えば一卵性双生児は遺伝要因がほぼ同一でありながら高齢になると一方ががんを発症しても他方は健常な場合が多く見られ、ペア間での差異を生じさせる原因となる環境因子(ライフスタイル要因)が存在するはずであり、その実体解明は予防医学の面で学術的にも社会的にも極めて重要である。しかし、生活習慣や生活環境などのライフスタイル要因の中からライフステージを超えてゆっくりと作用が現れる発がん原因を特定し、その作用機序を解明することは困難であり、これまであまり解明が進んでこなかった。しかし、近年、エピゲノム解析やシングルセル遺伝子発現解析などの新技術を用いて小児期、AYA世代、老年期等、ライフステージに応じたがんの特徴を捉え、発がん機構の解明につなげる研究が行われつつある。また、発がん制御における細胞老化の関与も注目されており、それらの知見に基づいたがんの治療・予防法の開発が期待されている。本セミナーではライフステージ毎の発がん機構の違いとその治療・予防戦略に関する最新の知見をご紹介頂きます。
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ポスター リーフレット 講演要旨集 |
はじめに |
大阪大学 微生物病研究所 遺伝子生物学分野
教授 原 英二 |
小児がん発症の分子機構 |
京都大学大学院 医学研究科 発達小児科学
教授 滝田 順子
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AYA世代の成人癌:エピゲノム不安定性からの挑戦 |
国立がん研究センター 研究所 エピゲノム解析分野
分野長 牛島 俊和
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多発性骨髄腫における分子腫瘍学的多様性の克服に向けて |
京都府立医科大学大学院 医学研究科 血液内科学
教授 黒田 純也 |
腸内細菌による細胞老化の誘導とその発がん制御における役割 |
大阪大学 微生物病研究所 遺伝子生物学分野
教授 原 英二
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最長寿齧歯類ハダカデバネズミの細胞老化調節機構 |
熊本大学大学院 生命科学研究部 老化・健康長寿学
准教授 三浦 恭子
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老化細胞除去による加齢制御 |
東京大学 医科学研究所 癌防御シグナル分野
教授 中西 真
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おわりに |
東京大学 医科学研究所 癌防御シグナル分野
教授 中西 真
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