オートファジー研究は、大隅良典博士(現東京工業大学栄誉教授)の出芽酵母を用いた先駆的な研究、すなわちオートファゴソーム形成に必須なATG (AuTophaGy)遺伝子の発見により飛躍的に進んだ。大隅博士はその功績により2016年ノーベル医学生理学賞を受賞した。この発見を契機に、オートファジーの素過程の基本メカニズム、そしてオートファジーの基本的な生理作用が明らかになった。
しかし、オートファジー研究領域が成熟したかといえば、それには遥かに及んでいない。実際、オートファジーの研究が進むにつれて、従来の概念を超える多様性の存在が明らかになり、さらにはオートファジーが遺伝情報の維持機構、分化や環境変化に伴う細胞機能の制御、幹細胞の維持・分化、さらには老化制御といった生命の根幹に関わる事象に深く関与することも判明しつつある。またオートファジーが数々の重要疾患の抑制に働いていることが次々と示され、臨床応用の期待が高まっている。本シンポジウムでは、オートファジーの高次機能及び疾患との関係について最先端の研究を行う研究者を集め、現在までのオートファジー研究の到達点を紹介するとともに、将来像を討議する。
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ポスター(PDF) プログラム(PDF)
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はじめに |
大阪大学大学院医学系研究科 遺伝学教室
教授(栄誉教授) 吉森 保
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オートファジーによる疾患抑制の分子機構 |
大阪大学大学院医学系研究科 遺伝学教室
教授(栄誉教授) 吉森 保
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感染防御免疫系におけるATG8ファミリー分子群の役割 |
大阪大学微生物病研究所 感染病態分野
教授 山本雅裕
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マイトファジーの破綻と遺伝性パーキンソン病 |
東京都医学総合研究所 ユビキチンプロジェクト
プロジェクトリーダー 松田憲之
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オートファジーと肝癌・膵癌 ~p62との関連~ |
京都府立医科大学大学院医学研究科 消化器内科学
助教 楳村敦詩
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心不全におけるオートファジーの役割 |
キングスカレッジロンドン 循環器科
教授 大津欣也
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選択的オートファジーによる転写制御 |
新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子遺伝学
教授 小松雅明
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おわりに |
新潟大学大学院医歯学総合研究科 分子遺伝学
教授 小松雅明
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