遺伝子導入技術を駆使したヒトiPS細胞の分化制御
−ヒトiPS細胞から肝細胞への高効率分化誘導技術の開発−
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水口 裕之 大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野
独立行政法人医薬基盤研究所幹細胞制御プロジェクト
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ヒト胚性幹細胞(ES細胞)やヒト人工多能性肝細胞(iPS細胞)は、肝臓等のあらゆる組織細胞に分化することから、薬物の毒性スクリーニング系や再生医療等への応用が期待されている。しかしながら、従来の液性因子(増殖因子やサイトカイン等)による分化誘導法では、ヒトES細胞やヒトiPS細胞から肝細胞への分化効率が極めて低いこと、さらに得られた細胞も薬物代謝酵素の活性が低い未成熟な肝細胞であることが課題となっている。我々は、一過性に効率良く目的遺伝子を発現させることが可能なアデノウイルスベクターの特徴を最大限に生かして、ヒトES・iPS
細胞から肝細胞への分化過程において、肝臓の発生に重要な遺伝子を適切な時期に導入することにより、肝細胞への分化を促進させることを試みている。その結果、ヒトES・iPS細胞由来の内胚葉系細胞へHEX遺伝子を導入することにより、従来法と比較し肝幹細胞への分化誘導効率が飛躍的に向上した。さらに、HEX遺伝子を導入することにより得られた肝幹細胞を肝分化に適したHGF等の液性因子を用いて培養したところ、薬物代謝活性能などにおいて胎児期肝臓に相当した機能性のある肝細胞を分化誘導することができた。また、他の機能遺伝子の導入と組み合わせることにより、さらに高い薬物代謝活性能を有する肝細胞の分化誘導に成功した。
我々は、本研究により作製されたヒトiPS細胞由来肝細胞を、新薬開発研究過程での利用が期待される新規in vitro毒性評価系(スーパー特区研究『ヒトiPS細胞を用いた新規in
vitro 毒性評価系の構築』として推進)に利用することを計画しており、本講演では、我々が取り組んでいるヒトiPS細胞から肝細胞への分化誘導法の開発に関する研究について紹介する。併せて、本スーパー特区研究の事業計画の概要と基盤整備の現状についても紹介する。
【講師略歴】
平成 3年 3月 大阪大学薬学部薬学科 卒業
平成 8年 3月 大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了 博士(薬学)
平成 8年 4月 大阪大学微生物病研究所神経ウイルス分野研究員
平成 9年 4月 米国ワシントン大学医学部Senior Fellow(Dr. Mark A. Kay)
平成10年 7月 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部研究員
平成14年 7月 国立医薬品食品衛生研究所遺伝子細胞医薬部主任研究官
平成16年 4月 国立医薬品食品衛生研究所大阪支所基盤研究
第3プロジェクトチーム 副プロジェクト長
平成17年 4月 独立行政法人医薬基盤研究所遺伝子導入制御プロジェクト
プロジェクトリーダー
平成19年 4月 大阪大学大学院薬学研究科招へい准教授(連携大学院)
神戸大学大学院医学系研究科客員准教授(連携大学院)
平成20年10月 大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野教授(現在に至る)
独立行政法人医薬基盤研究所遺伝子導入制御プロジェクト
プロジェクトリーダー(併任)
平成22年 4月 独立行政法人医薬基盤研究所幹細胞制御プロジェクト
チーフプロジェクトリーダー(併任)(現在に至る) |